『君の膵臓をたべたい』

観た。良かった。★★★★☆。

この形式だと4.5とか中途半端なこと言えないから僕の中途半端な評価を下す正確にはあっている気がする。

原作は読んでいない。書店で見かけるたびに「綺麗な表紙......。」と思いながら何か月も無視し続けている。住野よるも。

そういえば『イミテーションと極彩色のグレー』は発売してすぐ買ったけどまだ読んでない。単行本は本当に進まない。進まないと言いながらも1ページも開いていないけれど。『夢が覚めるまで』は予告見て引いたから詳しいことは知らない。ようつべあたりを探せば卒業制作、自主製作のアニメーションなんていくつもあるけれど、職業声優を起用しているのは引いた。

あ、今回は実写映画の方を観た。

アニメだったら花澤香菜の一人でも出てきそうな内容だけど出てないんだね。それっぽいキャラもいないか。

 

このブログで感想を言うとき、良いか悪いか決まっているなら基本的にそう感じた方の肩を持つ。だからその点は注意して読んでもらった方が良い。

 

こういう寿命があって......とか「先生は来週引っ越すの。四国の実家に帰るの。」とかそういう一緒に居られる時間の少ない恋愛もの大好きマンなのでぶっ刺さった。

ヒロインは、好きか嫌いかと言われれば好き寄りの好きだけれど完璧ではない。

こういう話ではありがちな性格してて、明るく見せてるけど内心では......終盤では......という感じ。

無理やり他人を引っ張っていく。主人公のことを"君"と呼ぶ。こういうの好きだけど、実写っていうのと、セリフが妙に狙ってる感じがして完全に入り込めない。小説とかアニメ、漫画ならありだったかもしれない。

セリフが妙に狙っているというか、「こういう女がええんか。こういう女に振り回されるのが男の欲望なんか。」っていうレビューがアマゾンのレビューにあった。この点はちょっとくらい批判されてもいいと思う。それと、そうだよ。

 

他のレビューを見ると原作厨で「原作は主人公の成長が軸で、映画はヒロインの死で泣かせることが……こんなのダメだ。」というものがあった。

原作厨は時に正しいけれど、今回のものは認めない。

何故なら僕が原作を読んでいない、映画を支持する側の人間だからだ!

残念ながら実写映画と原作は別作品である。二次創作であっても別作品に過ぎない。コピーはオリジナルには勝てない。

完全なるコピーを作り出すことで評価される場合もある。

他方、オリジナルに手を加えて評価される場合もある。もちろん悪い評価が下される場合もある。

声優の交代なんて悲しいもんだよ。なにしたって批判されるんだもん。

今回の作品の場合、わざわざ低く評価するほどのことを仕出かしていないように思える。

筋は通っている。伏線も回収した。

悪いのは?ヒロインが露骨にかわいい事。

こういう時はいつだって士郎正宗。「原作を忠実に再現するだけじゃ駄作」。

僕も絵を見るときに、とても綺麗に、写実的に描けている絵を見て綺麗だとは思うけれど、そこに魅力は感じない。

loundrawの絵は写実的ではないけれど、魅力的で綺麗だ。

そういう作品でもいいんじゃないかな。

思い出のマーニー』のメイキングでも似たようなことが。

アニメは現実の動きを忠実に再現するんだけれど、それだけじゃ魅力的ではない(つまらない)から、本当は存在しないはずの動きを入れる。トマトを切るときにはトマトが少し膨らんでから切れる。

板野サーカスなんて現実では起こらない。

TEDで、Pixarで『ファインディング・ニモ』なんかのライティングを担当していた人が話していた時にも。

現実のままの光を再現するだけなら全部コンピューターに任せていればいいからいらない存在だけれど、そんなんじゃ魅力的に見えないからライティングは存在する。

「全部絵の話だ。映画とは違う。」

違わないよ。きっと。

付け加えれば、ジョージ・ルーカスの描く宇宙では音を伝える空気などなくても音がするのだ!音は波じゃなかったんだ!ピキュンピキュン!

そして世界を魅了したのだ。

何十年も続く007シリーズもボンドカーには謎科学が詰め込まれてるし。

だからSFの定義が難しくなるんだよなぁ……。

話が逸れてる?!

 

他のレビューにも反対意見を。

「余命幾ばくも無い子を通り魔に殺させるなんて……。」

まあそう聞くと酷い話だね。というか、もろネタバレじゃん。

でもこれ僕はちょっと感動した。

寿命が短くても、パラレルワールドに帰らなきゃいけなくても、ブルームーンが……でも基本的にこういう話は期限通りに話が終わる。

この映画(というか原作?)はそこに一石を投じている。

こういう話が好きな人ほど特に「きっとここから幸せな二人は幸せに余命の尽きるときまで幸せに幸せするんやろなぁ」と思ってしまうところに突然の別れを告げ、ついでに伏線回収。

むしろ評価されてもいいと思う。

 

地味に『天気の子』への評価へ繋がるところがある気がする。

自分が思っているよりも僕の評価って一貫性があるのか?

 

僕は邦画の演技の臭さなんてとっくに諦めている。だから邦画を好き好んで漁るようなことはしないし、その点を批判することもない。

そんなことをいまさら邦画に求めたって、そこに求める作品はきっとない。

だから演技の臭さは評価せずに平等に星3から始まっている。

そのうえで、

ヒロインのセリフの臭さと、個人的にタイトルをセリフにするの嫌いなのと、他いくらかの減点で星4。以上。